交通事故証明書
名古屋の弁護士の能勢洋匡です。
本日は、交通事故証明書についてお話します。
1 交通事故証明書とは
⑴ 交通事故証明書は、自動車安全運転センターが発行します。
⑵ 交通事故証明書には、交通事故の発生場所・日時、事故当事者の住所氏名、車両番号、自賠責保険会社・証明書番号、事故類型などが記載されており、交通事故の概要を明らかにすることができます。
2 交通事故証明書の重要性
⑴ 交通事故証明書は、相手方自賠責保険に治療費等を請求する場合、刑事記録の23条照会をする場合、交通事故に関して保険給付を受ける場合など、交通事故に関する様々な場面で必要となります。
⑵ 交通事故証明書が作成されるためには、警察が交通事故の発生を把握する必要があります。
⑶ 交通事故に遭われた際、警察に報告しないと、交通事故証明書が作成されず、様々な不利益を被るおそれがあります。
⑷ 交通事故に遭われたときは、必ず警察に報告してください。
3 物件事故と人身事故
⑴ 交通事故証明書には、物件事故・人身事故の記載欄があります。
⑵ 交通事故の多くは、基本的に物件事故扱いとなり、病院で診断書を作成してもらい、警察に提出することで、人身事故に切り替えることができます。
⑶ 人身事故への切り替えた場合、加害者は、刑事罰及び行政罰を受けるおそれが生じます。
加害者側保険会社は、加害者が不利益を被ることを避けるために、「物件事故扱いのままでも治療費や慰謝料は支払われるので何も不利益はありません。」と説明してきます。
⑷ しかしながら、負傷したにも関わらず物件事故扱いのままにしておくと、大した怪我ではないから人身事故の届け出をしないのだとの印象を与えかねず、治療期間などに関して不利益を被るおそれがあります。
⑸ このため、被害者に過失がない場合には、人身事故に切り替えることをお勧めします。
4 交通事故証明書の発行手続き
⑴ 交通事故証明書を申請する方法は、①自動車安全運転センター窓口、②郵便振替、③インターネットでの申し込みの3つがあります。
⑵ 発行手数料は、1通800円です(令和4年4月1日に改訂。それまでは1通600円。)
5 交通事故証明書の「甲」と「乙」
⑴ 交通事故証明書では、事故当事者は「甲」と「乙」と記載されています。
⑵ 一般論として、過失が小さい方が「乙」側に記載されますが、過失割合は、ドライブレコーダー等の精査により覆ることがあります。
6 交通事故証明書は、交通事故の手続き全体で必要になる重要な書類であり、入手できない場合の不利益は極めて大きいです。
交通事故に遭われた方は、必ず警察に報告してください。