痛みを我慢しないでください
痛みを我慢しないでください
名古屋の弁護士の能勢洋匡です。
日常生活でも、仕事でも、忍耐力が必要になる場面は多々あります。
忍耐力は、社会生活を送るうえで、とても大切です。
しかしながら、交通事故の被害に遭われた方が、痛みを我慢した場合、不利益に扱われてしまうこともありますので、注意が必要です。
1 通院を控えてしまうことによる不利益
交通事故の被害に遭われた方は、様々な傷害を負います。
しかしながら、打撲や捻挫といった負傷の場合、レントゲンやMRI検査の画像からは、傷害の有無が明らかにならないことがあります。
画像からは痛みの原因が明らかにならない場合、被害者の症状の有無は、本人の申告や神経学的検査のほか、通院状況などから推認されます。
通院してリハビリ治療を受ければ、痛みは緩和されます。
このため、被害者が継続的に通院していると、事故による負傷の痛みが続いていることが推認されます。
ところが、被害者の中には、仕事の都合等から、怪我の痛みを我慢して、ほとんどリハビリを受けられない方がおられます。
すると、通院しないのは、リハビリを受ける必要がない、つまり、それほど痛みが残っていないのだとして、加害者側保険会社から、早期に治療費を打ち切られてしまうおそれがあります。
また、傷害慰謝料の算定にあたっては、入通院する必要があった期間が重要な考慮要素になります。
このため、同じ車両で事故に遭い、同じくらい重い怪我を負われたとしても、症状を和らげるためにリハビリを続けた方と、最初に数日通院しただけで、痛みを我慢して通院しなかった方とでは、慰謝料額に大きな差が生じてしまいます。
以上述べたとおり、交通事故により傷害を負いながら、痛みに耐えて通院を控えておられる方は、治療費や慰謝料の面で不利益に扱われてしまうおそれがあります。
お体のためにも、できる限り通院を続けてください。
2 痛みを隠してしまう場合
事故に遭われた方の中には、痛みがあるにも関わらず、周囲に心配をかけたくない、大事にしたくない、といった気持から、不調を申告されない方がおられます。
主治医の先生にも痛みを申告しないと、把握をすることができないため、診断書や診療録にも記載されません。
すると、事故から時間が経過した後になって、耐えきれずに痛みを申告したとしても、その症状が事故によるものなのか、因果関係に疑義が生じてしまい、治療費の請求や、後遺障害の認定が認められなくなるおそれがあります。
主治医の先生から適切な治療を受けるためにも、お体の不調は、全て伝えるようにしましょう。
3 このように、交通事故の被害者が我慢をすると、いくつもの不利益を被るおそれがあります。
仕事の都合などもあるものと思いますが、できる限り、通院を続けるようにしてください。