名古屋の弁護士の能勢洋匡です。
本日は、示談交渉と訴訟についてお話します。
1 交通事故被害について損害賠償を請求する手段としては、主として、示談
・・・(続きはこちら) 名古屋の弁護士の能勢洋匡です。
本日は、示談交渉と訴訟についてお話します。
1 交通事故被害について損害賠償を請求する手段としては、主として、示談交渉と訴訟が考えられます。
(この他の手段としては、民事調停やADR(裁判外紛争解決手続)等がございます。)
示談交渉とは、加害者(ほとんどの場合は加害者側が加入している保険会社)との間で、裁判所等の第三者機関を通すことなく、賠償請求の交渉を行うことです。
民事訴訟は、裁判所に対して訴訟を提起して損害賠償を請求する手続きです。
これらの手続きには、それぞれ特徴があります。
2 弁護士が、交通事故に関する損害賠償請求を受任する場合、まずは示談交渉から開始することがほとんどです。
示談交渉のメリットは、訴訟手続きと比較して、早期に被害弁償がなされる可能性が高い点にあります。
このため、まずは示談交渉を行ったうえで、訴訟を提起する必要があるかどうかを検討していくことになります。
示談交渉の場合、事故態様や過失割合に争いがなく、損害額の算定が複雑でなければ、損害額算定に必要な資料が揃ってから、概ね2か月以内には結論が出ます。
(この結論には、示談成立のほか、示談交渉では解決が困難と判断することも含まれます。)
一方、デメリットとしては、示談交渉はあくまでも話し合いであるため、加害者側が提案に応じなければ、賠償を受けることができません。
慰謝料に関しては、民事訴訟を提起した場合の基準と比較して1~2割ほど低い金額でなければ、加害者側保険会社が示談に応じない傾向にあります。
また、事故態様等に争いがある場合、加害者側は、できる限り自己に有利な事故態様・過失割合を主張してくるため、被害者側が納得できる金額で示談できる可能性が低まります
3 示談交渉では解決に至らない場合、民事訴訟を提起することを検討します。
民事訴訟最大の特徴は、公正中立な立場の裁判官が、当事者が提出した証拠を元に事故態様や負傷状況を認定し、過失割合や損害額を判断することです。
裁判官は、あくまでも中立の立場から判断するため、加害者側の不合理な事故態様の主張が退けられることにより、被害者が救済される可能性がある一方で、被害者にとって不利な事実が認定され、示談交渉段階よりも低い損害額が認定されてしまうおそれもあります。
このため、訴訟を提起する場合には、その見通しについて、事前に弁護士に相談をしておくことを強くお勧めします。
示談交渉では、加害者側保険会社は、裁判をした場合の基準額よりも低額での示談を求めてくるため、民事訴訟の方が高額な慰謝料が認定される可能性が高まるというメリットがあります。
訴訟手続きのデメリットとしては、解決までに時間がかかるという問題があります。
まず、訴訟提起に至るまでに訴状や証拠資料の作成・収集が必要となります。
また、訴訟手続では、概ね1か月から1か月半に1回の頻度で期日が設定されるため、進捗もそれに伴う速度となります。
このため、民事訴訟を提起した場合、解決までに少なくとも1年、上訴の可能性も含めれば、数年はかかるということにご留意いただく必要があります。
4 以上述べた通り、交通事故は、それぞれの解決手続に特徴があるため、その見通しを慎重に検討する必要がございます。
交通事故でお悩みの方は、是非、一度弁護士にご相談ください。