名古屋の弁護士の能勢洋匡です。
本日は、交通事故の人身事故への切り替えについてお話します。
1 人身事故の意味
交通事故に遭われて、警察に
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本日は、交通事故の人身事故への切り替えについてお話します。
1 人身事故の意味
交通事故に遭われて、警察に報告すると、交通事故証明書が作成されます。
交通事故証明書には、人身事故・物件事故の記載欄がありますが、これは、被害者が怪我をしているかどうかではなく、人身事故の届け出がなされたかどうかによって区別されます。
2 人身事故への切り替え
交通事故でお怪我をされたとしても、当初は物件事故として扱われます。
事故後、警察に診断書を持って行き、人身事故への切り替えを申し出ることによって、物件事故から人身事故に切り替わります。
事故から10日から2週間以上経過してから人身事故の届け出をする場合、警察が切り替えに消極的な態度をとることが多いため、切り替えは早めに申し出ましょう。
3 人身事故への切り替えの意味
人身事故に切り替えると、加害者が、過失運転致傷罪などの罪により罰金刑などの刑事罰を受ける可能性が生じます。
また、運転免許の点数に関する行政処分がなされ、免許停止・取消の対象になるおそれがあります。
一方、物件事故扱いであったとしても、人を怪我させた以上、治療費や慰謝料といった損害賠償義務を負うのは同じです。
4 人身事故に切り替えるべきかどうか
信号停車中の追突事故など、加害者側に10割の過失がある事故の場合、被害者側には、人身事故に切り替えるデメリットはありません。
一方、加害者側は、人身事故になってしまうと、刑事罰・行政罰を受けるおそれがあるため、保険会社担当者から、物件事故でも治療費を支払うから人身事故に切り替える必要はないとの説明がなされることあるようです。
人身事故に切り替えるかどうかは、被害に遭われたかたの判断に委ねられています。
加害者から真摯な謝罪があるなどして、処罰を望まない場合には、物件事故のままにしておくことありえます。
物件事故にしたままで自賠責保険金を請求する場合、人身事故扱いにしていない理由を明らかにする書類(人身事故証明書入手不能理由書)を提出する必要があり、人身にしなかった理由のチェック欄として、「受傷が軽微で」という項目があるため、怪我が軽くみられるおそれがあります。
なお、事故について、被害者側にも過失があり、相手方も受傷している場合には、人身事故に切り替えた結果、被害者側も刑事罰や行政処分を受ける可能性があるため、あえてお互い物件事故のまま済ませることも考えられます。